大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和36(オ)659 判決

主 文

原判決を破棄する。

本件を大阪高等裁判所に差し戻す。

理 由

上告代理人松浦武の上告理由について。

原判決は、被上告人がA1こと上告人に対し昭和二八年九月頃から昭和三〇年一

月七日までの間に紙器原料を売り渡し、現在残代金四〇万五五八八円の債権を有す

る事実を確定して、被上告人の本訴請求全部を認容したものであるところ、上告人

が、原審において、上告人はもとA2と称して紙器製造をしていたが、昭和二八年

八月頃整理をし、債権者である被上告人らが上告人の労務信用等を利用して債権回

収を図るべくA1を設け、その営業主体は被上告人であつて、上告人はその使用人

にすぎず、本件取引はA1に関するものであつて、上告人は買主ではない旨主張し

たうえ、予備的主張として、仮にA1が上告人の営業であるとしても、(一)被上

告人と上告人との間で、経営上欠損を生じても、これを上告人の負担としない旨の

合意が成立していた、(二)被上告人の経営管理のもとにたまたま欠損が生じても、

直ちにこれを上告人に負担させることは、信義則違反であり著しく条理に反する、

(三)被上告人において経営管理義務に違反しながら本訴請求に及ぶのは、信義則

上許されない、旨主張しているのにかかわらず、原審は、上告人の右(一)ないし

(三)の各主張についてなんら判断を示さないまま被上告人の本訴請求を認容した

ものであることは、本件記録上明らかである。

従つて、原判決には、判断遺脱、理由不備の違法があり、論旨は理由があるから、

原判決は到底破棄を免れないところであつて、上述の点についてさらに審理を尽さ

せるため、本件を原審裁判所に差し戻すのを相当とする。

よつて、民訴四〇七条一項に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

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最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 横 田 正 俊

裁判官 河 村 又 介

裁判官 垂 水 克 己

裁判官 石 坂 修 一

裁判官 五 鬼 上 堅 磐

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